「森正洋とはこんな人だった」というコーナー開設にあたって。（筒井泰彦）

このホームページをもっと充実しなければ、というのがかねてからの宿題でした。「森正洋」という大名題を掲げている割には、その内容にいささか欠けるところがあるのではないかと、当事者である私たちも気を揉んでいたのです。そこで衆議一決、新たなコーナーを開設することにしました。森正洋というとてつもない創造者を、さまざまな方向から照射してその全体像をとらえようという試みです。その試みに多くの方々のご協力を仰ごうという企画です。

私は便宜上、合同会社森正洋デザイン研究所の代表をお引き受けしておりますが、「やきもの」や「デザイン」の仕事に従事したことはなく、個人的には、森さんの生前に雑誌編集者としてお付き合いし、その際一方的にいろいろ教えてもらうことばかり多く、森正洋という作家の仕事の理解において十全ではなかったと自覚し、反省しております。亡くなった後、合同会社の設立に参加して、その事績に接する過程で、今更ながら森さんの偉大さに驚かされるといった体たらくなのです。

私たちの手許には、生涯にわたる作品や試作品のほか、森さんが、自ら撮した数万枚の写真や数百冊のスケッチ帳、夥しい数の図面やノート、新聞や雑誌の切り抜きなどが遺されていて、現在、アーカイブスを構築すべく作業を進めていますが、それで森正洋の全貌が把めるとは限らないことに気づきました。それには、生前の森さんと直接相交わった方々の抱く「森正洋像」を集めることが必要なのです。

そこで、森正洋の公式ホームページのこの欄で、これから各界の方々に原稿をお願いして、森正洋の人柄や気性、仕事ぶり、考え方ほかについて、ご自由に、忌憚なく書いていただくことにしました。それらが積み重なることによって、恐らく私たちが承知している「森正洋像」の数倍の大きさのものが出来上がるでしょう。それが楽しみです。

そしてこのホームページを閲覧される方々にも必ずや喜んでいただけるものと確信しております。既に多くの方が何らかの媒体でお話しされ、お書きになったものもありますので、その再録も考えております。題して「森正洋とはこんな人だった」。